関節リウマチとは

関節リウマチとは

関節リウマチは、本来は外敵から身を守るための免疫システムが、正常に働かず、自分の体のうち特に関節を攻撃してしまうことによって、関節の腫れや痛み、ひいては関節の破壊が生じてしまう病気です。以下に詳しく解説します。

 

  • 頻度・好発年齢

 世界の地域によって若干異なりますが、およそ0.5-1%の人が関節リウマチを有しています。日本での患者数はおよそ70万から100万人と言われています。女性:男性は3-5:1で、女性の方がなりやすいです。
好発年齢は40-60歳代ですが、10代での発症や、高齢での発症もあります。

 

  • 原因

 はっきりとした原因は不明ですが、先天的な遺伝的要因と、後天的な環境要因が関係しています。
遺伝的要因を説明することとして、一卵性双生児では一方が関節リウマチを発症した場合、もう一方も発症する確率は15-30%と報告されていること、さらに、母が関節リウマチである場合に子供も発症する確率は3-5%と言われていることが挙げられます。また、近年、HLA-DR遺伝子やPADI4遺伝子など、発症に関与する遺伝子がいくつか報告されています。
環境要因としては、喫煙、エストロゲンなどの性ホルモン、歯周病、ウイルスや細菌などの感染など、様々な要因が言われています。この中でも特に喫煙は近年注目されています。遺伝的なリスクを持つ人が喫煙すると発症する確率が8倍になるとも報告されています。

 

  • 症状

朝起きた時の関節のこわばりや、手足の指の関節の腫れや痛みが特徴的です。

朝のこわばりは、15分以上続き、1週間以上持続します。夜間、睡眠中に体が冷えて、関節の中の「潤滑油」のような働きをする関節液が冷えて粘性が高まり、関節が動きにくくなるためであると言われています。昼寝をするなど、じっとしていた後にもこわばりが生じやすいです。

多くの場合、朝の手指のこわばりが生じた後、しばらくして手指の関節の腫れや痛みが生じてきます。これは、第2関節や手指の付け根の関節、手首、足首、足の付け根の関節に最初に起こりやすいです。大抵、小さな関節にまず影響が現れ、その後、足首や膝、股関節、肩などの大きな関節に広がっていきます。また、この腫れは、関節内の滑膜の肥厚や、関節液の貯留を反映して、水風船のような弾力性があります。さらに、炎症のため、血流が盛んになり、赤みを帯びて、熱感を伴うことが多いです。

ちなみに、リウマチと間違えやすい症状として、手指の指先に近い第1関節や、第2関節に、硬い骨の盛り上がりが生じて、痛みを伴うことがありますが、これは「変形性関節症」というリウマチとは無関係な病気で、加齢や手の使い過ぎで発症頻度は増えます。

リウマチの炎症による関節の腫れや痛みを放置すると、骨が破壊され、関節が変形して、動かせる範囲が狭まり、日常生活に支障をきたすようになってしまいます。

さらに、リウマチでは炎症に伴って、微熱や全身倦怠感、体重減少を生じることもあります。また、炎症に伴って貧血の進行を認めることも多いです。加えて、リウマチでは、骨がもろくなる骨粗鬆症が起こりやすくなります。それ以外にも、長期間経つと、肘や膝の外側など、骨が出っ張っていて物にぶつかりやすい箇所に、リウマチ結節と呼ばれる少し弾性のあるこぶ状のしこりができることがあります。

関節のみならず、肺や皮膚、神経、眼、血管などにも影響を及ぼす場合(悪性関節リウマチ)もあります。また、年単位の長期間にわたり炎症が持続すると、炎症の物質が全身の臓器に沈着してしまい、消化管や腎臓などの障害をきたすことがあります(アミロイドーシス)。

このようにリウマチは関節以外にも影響が及ぶことがあり、全身の診察が重要となります。

 

  • 診断

診断には、2010年にアメリカリウマチ学会と欧州リウマチ学会が共同で発表した診断(分類)基準が世界的に用いられています。
まず、一つ以上の関節に腫れがあり、関節リウマチ以外の可能性が低い場合に、関節リウマチが疑われます。さらにレントゲン検査で「骨びらん」という骨の削れがある場合は関節リウマチと診断され、骨びらんがない場合でも下記の点数表で6点以上であれば診断されます。

<関節リウマチ診断(分類)基準(2010年)>

腫脹または圧痛関節数(0-5点)
1個の中・大関節*              0点
2個~10個の中・大関節          1点
1個~3個の小関節**            2点
4個~10個の小関節            3点
11関節以上(少なくとも1つは小関節)  5点
(*中・大関節とは、肩・肘・股関節・膝・足首を指す)
(**小関節とは、手指の第2関節、手指の付け根の関節、手首、親指以外の足の指の付け根の関節を指す)

血清学的検査(0-3点)
リウマチ因子も抗CCP抗体も陰性                         0点
リウマチ因子か抗CCP抗体のいずれかが基準値上限の3倍未満で陽性 2点
リウマチ因子か抗CCP抗体のいずれかが基準値上限の3倍以上で陽性 3点

滑膜炎の期間(0-1点)
6週間未満  0点
6週間以上  1点

急性期反応(0-1点)
C反応性タンパク(CRP)も赤沈(ESR)も正常値  0点
C反応性タンパク(CRP)か赤沈(ESR)が異常値  1点

他の疾患を否定したうえで、10点満点中、合計6点以上で関節リウマチと診断(分類)します。

  • 治療

関節リウマチは、発症後の最初の約2年間に急速に関節が壊れることが報告されています。そのため、上記の基準で関節リウマチと診断されれば、すぐにメトトレキサート(商品名:リウマトレックス®、メトレート®など)などの抗リウマチ薬(DMARD:ディーマード)と呼ばれる飲み薬で治療することが望まれます。

メトトレキサートなどの飲み薬を3~6か月程度用いても病気の勢いが収まらない場合は、2~3種類の抗リウマチ薬を同時に内服したり、もしくは、リウマチの病態にかかわる分子をピンポイントに抑える薬として近年新たに登場した生物学的製剤(バイオ)と呼ばれる点滴もしくは注射の薬を追加することが推奨されています。

なお、発症から半年程度の早期の関節リウマチでは、病気の勢いが強い場合や、骨の削れが認められる場合などでは、診断当初から抗リウマチ薬と生物学的製剤を同時に開始することがあります。

<ステロイドについて>
ステロイド(プレドニン®など)の内服は抗リウマチ薬とともに用いられる場合もありますが、感染症や、血糖値や血圧の上昇、骨粗鬆症、動脈硬化、白内障・緑内障、満月様顔貌、精神症状などの多様な副作用のため、例え用いられるとしても必要最低限の量・期間の使用しか推奨されません。肺などの関節以外の病変が合併している場合は別ですが、診療ガイドライン上、関節症状に対しては、少量のステロイド(プレドニゾロン10 mg/日程度以下)が、診断当初の6か月間を限度として用いられるのみです。
なお、長期にステロイドを使用すると、上記の副作用の可能性があるのみならず、副腎という臓器で生み出されているステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)が分泌されにくくなります(副腎が頑張ってステロイドを作らなくても薬で外から補われると、副腎は”サボって”しまいます)。一度副腎がステロイド作りをサボってしまうと、すぐにはその機能は回復しないため、ステロイドを急にやめてしまうとステロイド不足が顕著になり、血圧の低下や血糖値の低下などを引き起こす可能性があり、危険です。したがって、長期にステロイドを使用している場合はステロイドの減量は少しずつ行います。ただし、ステロイドの薬を少しずつ減量しても、減量直後に体内のステロイド不足が生じてしまい、体のだるさや、筋肉や関節の痛み、力の入りにくさ、吐き気などが一時的に生じることがあります(相対的副腎不全)。時間がたつと徐々にそれらの症状は改善し得ますが、辛い場合はどうしてもステロイドを元の量まで増やさざるを得ないこともあります。
以上より、このようなステロイドの副作用や、減量にともなう相対的副腎不全も少なくないため、当院ではリウマチに対して基本的にステロイドは用いません。ただし、関節の局所にステロイドの注射をすることはあります(全身への不具合は非常に少ないため)。

抗リウマチ薬には主に下記のようなものがあります。

メトトレキサート(リウマトレックス®、メトレート®など)
・サラゾスルファピリジン(アザルフィジン®など)
・タクロリムス(プログラフ®など)
・ブシラミン(リマチル®など)
・ミゾリビン(ブレディニン®など)
・イグラチモド(コルベット®、ケアラム®)
・トファシチニブ(JAK(ヤヌスキナーゼ)1/3阻害薬、ゼルヤンツ®)

生物学的製剤には下記のようなものがあります。別ページに下記の生物学的製剤の特徴を一覧表にまとめました。

TNF阻害薬
・インフリキシマブ(レミケード®)
・エタネルセプト(エンブレル®)
・アダリムマブ(ヒュミラ®)
・ゴリムマブ(シンポニー®)
・セルトリズマブ・ペゴル(シムジア®)
IL-6受容体阻害薬
・トシリズマブ(アクテムラ®)
T細胞共刺激阻害薬
・アバタセプト(オレンシア®)

2017年、すでに骨粗鬆症の治療薬として本邦でも用いられており、関節リウマチの骨破壊の抑制効果が示されているDenosumab(デノスマブ;プラリア®)や、IL-6受容体阻害薬のSarilumab(サリルマブ;ケブザラ®)、さらに、メトトレキサートとの併用下でアダリムマブ(ヒュミラ®)よりも有効性が高いことが示されたJAK1/2阻害薬のBaricitinib(バリシチニブ;オルミエント®)が承認されました。
 将来承認される可能性のあるリウマチ治療薬としては、GM-CSF受容体α鎖に対する抗体のMavrilimumab(マブリリムマブ;CAM-3001)、IL-6阻害薬のClazakizumab(クラザキズマブ)やOlokizumab(オロキズマブ;CDP6038)、TNFとIL-17両方に対するハイブリッドな抗体、他にも、JAK1阻害薬のUpadacitinib(ウパダシチニブ;ABT-494)やFilgotinib(フィルゴチニブ;GS-6034)、JAK3阻害薬のDecernotinib(ディセルノチニブ;VX-509)、本邦で開発されたJAK3阻害薬のPeficitinib(ペフィシチニブ;ASP015K)などがあります。